マネジメント#2マネージャー

マネージャーとは何か

マネージャーとは「組織の成果に責任を持つ者」である。「人の仕事に責任を持つ者」ではない。

専門家にとってはコミュニケーションが課題であり、専門家にはマネージャーが必要である。専門家のアウトプットは知識であり、情報である。専門家のアウトプットを他の人間の仕事と統合する上で頼りにするのがマネージャーである。マネージャーは専門家のボスではなく、道具、ガイド、マーケティングエージェントである。専門家はマネージャーの上司となりうるし、上司とならなければならない。自らの属するマネジメントを導き、新しい機会、分野、基準を示すことが専門家の仕事であり、組織内のあらゆるマネージャーよりも高い立場に立つ。マネージャーであれ、専門家であれ、両者に要求されるものは同じであり、どちらもマネジメントに属する。違いは手段だけである。

マネージャーの2つの役割

  • 部分の和よりも大きな全体、投入した資源よりも大きなものを生み出す生産体を創造することである。
  • あらゆる決定と行動においてただちに必要なものと遠い将来に必要なものを調整していくことである。

マネージャーに共通の5つの仕事

  • 目標を設定する。
  • 組織する。
  • 動機づけとコミュニケーションを図る。
  • 評価測定する。
  • 人材を開発する。

マネージャーに必要な資質は真摯さである。マネージャーにできなければならないことはそのほとんどが教わらなくても学ぶことができる。はじめから身につけていなければならない資質こそが真摯さである。

マネージャーとは組織の最終成果に責任を持ち貢献を行う人間であり、常に最大の挑戦をともない、最大の貢献を可能にしなければならない。

マネージャーの職務設計の間違い

  • 職務を狭く設計し成長できなくすること
  • 補佐役という職務。独自の目的、目標、機能がない
  • マネジメントとは1つの仕事であるが、マネージャーが専念しなければならないほどの時間は必要ない。
  • 本人一人、あるいは直接の部下だけで遂行できるものにしなければならない
  • 地位と責任の代わりにポスト(肩書き)で補ってはならない
  • 後家づくりの仕事は設計しなおさなければならない

※後家づくりとは優秀な人たちが連続して失敗する仕事

職務設計の4つの視点

  • マネージャー本来の仕事
  • 割り当てるという仕事
  • 上、下、横との関係で規定する
  • 必要とする情報とその情報の流れに沿って規定する

マネジメント開発

マネージャーは育つべきものであり、生まれつきのものではない。明日のマネージャーの育成、確保、技能について体系的に取り組まなくてはならない。

マネジメント開発ではない3つのもの

  • セミナーに参加することではない
  • 人事計画やエリート探しではない
  • 人の性格を変え、人を改造するものではない

人を間違った方向へ持っていく4つの要因

  • 技能の分化。技能自体を目的にしてはならない。
  • 組織の階層化。全員の目が組織の要求するものに向けさせる組織構造にする必要がある。
  • 階層の分離。階層ごとのものの見方が違い過ぎてはならない。
  • 報酬の意味付け。報酬にできることは間違った方向へいかないように監視することぐらいである。

目標管理

  • チームとしての成果を組み込む
  • 組織全体の目標から引き出す
  • 短期と長期の視点を持つ
  • 有形の経済的目標だけでなく、無形の目標(組織化、育成、仕事ぶり、態度、責任など)を含む

目標管理の最大の利点は自らの仕事ぶりをマネジメントできるようになることである。自らの仕事ぶりを管理するには目標だけではなく、評価できる情報を入手し、評価できなければならない。

ミドルマネジメント

ミドルマネジメントが過剰になることは大きな害となる。組織の士気と動機づけに悪影響を与える。給与や待遇はいいが、仕事、挑戦、機会がない。伝統的なミドルは下対して権限を持つ。新種のミドルは上や横に対して責任を持つ。新種のミドルは専門家であり、彼らの決定と行動が、組織の方向と能力に直接影響を与える。新種のミドルは事業、目標、資源に対して意思決定することはできないが、必要な知識を供給することで貢献する。

組織の精神

組織は天才に頼ってはいけない。凡人から強みを引き出し、他の者の助けとすることができるかが組織の良否を決める。成果中心の精神があるか否かによって良否が決まる。

  • 組織の焦点は成果に合わせなければならない
  • 組織の焦点は問題ではなく機会に合わせなければならない
  • 配置、昇給、昇進、解雇など人事に関わる意思決定は組織の信条と価値観に沿って行われなければならない
  • 人事に関わる決定は真摯さこそ唯一絶対の条件である。

成果中心に考えるには成果とは何かを理解しなければならない。成果とは長期のものであり、打率である。間違いや失敗をしないものを信用してはならない。優れている人ほど多くの間違いをおかし、新しいことを試みる。

機会に目を向けることによって精神を高く維持できる。問題は無視できないが、問題中心の組織は守りの組織であり、悪くならなければ成果をあげていると考える組織である。

真摯さを絶対視して初めてまともな組織である。真摯さの定義は難しいが、真摯さの欠如は難しくなく下記である。

  • 強みよりも弱みに目を向ける
  • 何が正しいかよりも誰が正しいかに関心を持つ
  • 真摯さよりも頭の良さを重視する
  • 部下に脅威を感じさせる
  • 自らの仕事に高い基準を設定しない
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