学習する組織入門1

スクラム

学習する組織とは

学習する組織とは、目的に向けて効果的に行動するために、集団としての意識と能力を継続的に高め、伸ばし続ける組織

①組織の目的そのものが、志に根差したものになっており、メンバーのやる気や主体性が引き出されている

②個人が主体的に学習し、組織のレベルでも学習する

③集団としての意識と能力を継続的に高め伸ばし続け、強い衝撃や急激な変化に耐え、その後に回復する力を持っている

学習できる組織になり、変化が激しい今の時代でも適応し、自らを変革する能力を備えた自律した組織に変わっていこう

学習する組織と学習障害に悩む組織

学習する組織学習障害に悩む組織
風通しがよくオープンに話し合う文化が根付いている風通しが悪く率直な意見交換や質問は見られず相互理解に至らない
本音が語られるのは給湯室・喫煙室・居酒屋などに限られ業務中は波風が立たない
それぞれがよく考え、聴き、話すことが習慣化しているお互いの主張が目立ち探求的な問いかけや内省はめったにない
組織の中で、目的・ビジョン・価値観とその意味が共有され行動に根付いている各部署間のコミュニケーションは少なく縦割りで部分最適に走っている
チームおよび組織での全体最適化への取り組みが自発的に行われている在庫や人員配置、スケジュールについての調整が頻繁に行われ混乱している
事業環境の変化をいち早く察知し、迅速にしなやかに適応しながらもその核となるアイデンティティが保持されるトラブルシューティングや対症療法ばかりが行われている
市場の開拓・創造や新事業・製品開発は目標とされながら現実にはほとんど動いていない
高いチームパフォーマンスが発揮され、それぞれがやりがいを感じて働いている社員たちは未来やビジョンのことは話合わない
社員、中間管理職、経営陣の間に大きな溝が広がり互いに失望感を寄せている
仕事を自分で作る姿勢がなく上司や親会社他部署の指示に従う分化がある

経営者やマネージャーが直面する意思決定のジレンマ

ビジネス界で成功するためには、情報の収集と正確な解釈が不可欠。
しかし、現実には、多くの経営者やマネージャーは自分の理解範囲内での合理的な推論に頼ってしまい、戦略的な失敗を招くことがあります。私たちは多くの場合、即時の利益や効率の向上に焦点を当てがちで、長期的な戦略や価値創造を見失い、環境の変化に対する感覚を鈍らせてしまいます。
私たちの思考がバイアスに影響され、偏った情報に基づいて意思決定を行ってしまう傾向は「限定合理性」と呼ばれますが、こうした状況はしばしば無自覚であり、経験や前提に基づく認知や行動は、自己防衛や言行不一致を引き起こす可能性があります。
成功する経営者やマネージャーは、このようなジレンマに気づき、積極的に自己を見つめ直し、環境の変化に適応する能力を身につけることが重要です。

ダブルループ学習 「成長への新たな一歩」

最近、ビジネスや教育の分野で注目を集めている「ダブルループ学習」についてご存知ですか?この学習方法は、単なる情報の吸収や技能の習得だけではなく、自己の価値観や信念を見直し、より深いレベルでの自己成長を促すものです。

通常の学習は「シングルループ学習」と呼ばれ、目標に向かって行動し、結果を評価して修正するプロセスです。一方、「ダブルループ学習」では、目標やアプローチそのものを見直し、自己の考え方や前提を問い直すことで、より深い理解と成長をもたらします。

この学習方法は、組織や個人が新たな課題に直面した際に特に有効です。自己の行動やアプローチを見つめ直すことで、問題の根本原因や潜在的な課題に気づくことができます。それによって、より効果的な解決策を見つけ出し、持続可能な成長を実現することが可能となります。

しかし、ダブルループ学習は簡単なものではありません。自己を客観的に見つめ直し、受け入れることは、自己防衛や心理的抵抗といった障害に直面するかもしれません。しかし、その過程で得られる深い洞察と成長は、その努力を上回るものです。

ダブルループ学習は、今後ますます重要性を増すでしょう。私たちは、自己の成長と組織の発展のために、この革新的な学習方法を取り入れ、日々の活動に活かしていくことが必要です。

チームに成長を促す3つの学習能力

チームが目標を達成するためには、3つの学習能力が必要です。①志を育む力、②複雑性を理解する力、そして③共創的な対話をする力です。

「志を育む力」
個人やチームが本当に望むものを明確にし、その実現に向けて変化する能力です。自己マスタリーや共有ビジョンのディシプリンによって構成され、自分のビジョンを深め、エネルギーを集中させ、現実を客観的に見ることが大切です。

「複雑性を理解する力」
システム思考のディシプリンによって形成されます。組織やチームは、さまざまな要素が絡み合い、相互に影響し合うシステムです。個々の部分だけでなく、全体を理解することが重要です。

「共創的な対話をする力」
メンタルモデルやチーム学習のディシプリンから成り立ちます。対話を通じて、相手の立場や視点を理解し、自己の前提や考え方を見直すことが必要です。それによって、個人やチームの意識と能力が高まり、より良い結果を生み出せるようになります。

これらの力は、それぞれ独立しているだけでなく、統合して活用することが重要です。ピーターセンゲの組織論においても指摘されているように、これらの力を統合的に発展させることで、チームはより高いパフォーマンスを発揮し、目標を達成することができるのです。

リーダーシップの成長に欠かせない4つのレベル

リーダーシップには、知識、スキル、姿勢・立ち位置、そしてあり方という4つのレベルがあります。これらのレベルは、下のレベルを基盤にしており、重なり合うことでより高い次元の意識と能力を発揮することができるのです。

まず、基礎的なレベルの知識。これは、学習によって得られる情報やその理解を指します。知識を持っていることは大切ですが、それだけでは目標の達成には足りません。

次に、スキルのレベル。ここでは、具体的な行動や手法を身につけることが重要です。正しいやり方を覚え、それを繰り返し行うことで、頭で理解するだけでなく身体で覚えることができます。

しかし、知識やスキルだけではリーダーシップを発揮するには不十分です。垂直的なコンピタンス、つまり人格や器の発達も必要です。姿勢・立ち位置が大きく左右し、学習者としての中立的な姿勢をとることが重要です。

最後に、最も高いレベルのあり方。これは、自己の根源に繋がり、本当の自己を知ることから始まります。人格や徳を意味するあり方のレベルは、リーダーシップにおいて重要な要素です。

スキル、姿勢、あり方のレベルは、それぞれ「何を行うか」「それをいかに行うのか」「それを誰が行うのか」と整理できます。リーダーシップを発展させるためには、これらのレベルをバランスよく育てていくことが大切です。

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